国産合板が値上がり 需要堅調、丸太高も押し上げ
2018/3/12 20:30日本経済新聞 電子版
国産の針葉樹合板が値上がりした。住宅の壁の下地などに使う構造用は2月末に比べ2%上昇した。公共施設向けを中心に合板需要は底堅い。スギやヒノキなど丸太の高値によるメーカーの値上げを商社や問屋が受け入れた。競合する輸入合板価格も高止まりしており、建築需要が動く春以降に一段と値上がりする可能性がある。
構造用の針葉樹合板(12ミリ)は東京地区の問屋卸価格が現在、1枚1080~1100円。2月末に比べ20円(2%)高くなった。値上がりは2017年9月以来。
原料となるスギやヒノキといった丸太の値上がりで、国産合板大手セイホクが3月出荷分から1枚20円の価格引き上げを表明していた。
需要は堅調だ。保育園や公民館など非住宅分野向けの構造用合板の引き合いが伸びている。新設住宅着工戸数は落ち込むものの、「コンクリート型枠用合板やフロア台板に生産を振り向ける余裕がない」(林ベニヤ産業の内藤和行社長)。
農林水産省によると1月の出荷量は前年同月比7%増の25万2200立方メートル。需要家は数量確保に向け、メーカーの値上げを受け入れた。
全国森林組合連合会(東京・千代田)がまとめた全国21共販所での2月の平均取引価格は、合板などに使う中目用のスギ丸太が1立方メートル1万2400円。前年同月比で100円(1%)高く、11カ月連続で前年水準を超えた。ヒノキ丸太は同700円(5%)高の1万6100円。5カ月連続で前年を上回った。
丸太の需要は伸びている。合板用に加え環境保全の機運の高まりで、木質ボードやバイオマス発電に使うチップ向けの出荷が増えている。山火事や環境規制で切り出しが落ち込む北米材や南洋材の高止まりも国産丸太の価格を支える。
針葉樹合板メーカーは需要拡大で生産を増やしている。農水省がまとめた1月の生産量は前年同月比8%増え、伸び率は出荷を上回る。春以降は東京五輪関連の公共事業のほか、新年度入りした民間事業者向けの工事が増える。「産地の丸太価格は高く、製品価格は強含みで推移する」(東京・新木場の木材問屋)との声も目立つ。
東南アジア産の南洋材で作る輸入合板も値上がりしている。環境規制や長雨で原木の伐採が産地で進まない。出回りが減り品薄の状態が続く。
住宅の内装材や家具など幅広い用途に使う普通合板は、建材問屋が工務店などに卸す価格(東京地区、厚さ2.3ミリ)が1枚610円(中心値)と前月比2%上昇した。昨年末からの値上がり率は5%に達する。他の厚さの合板も値上がりが目立つ。
1月の普通合板の輸入量は27万3856立方メートルと前年同月比11%減った。最大産地マレーシアからは10万3522立方メートルと同22%少ない。「先高を見込んで流通業者などの細かい仮需が積み上がっている」(建材商社)との声が出ている。