南洋材合板、年初比3割高 原料不足で現地工場停止

2017/12/25 17:34日本経済新聞 電子版

東南アジア産の南洋材合板の国内卸価格が上昇した。住宅の内装や家具に使う普通合板は年初比で3割高くなった。住宅需要が底堅い一方、主産地インドネシアで原木不足を受け大手メーカーが工場の操業を一時停止。供給が細り、国内の在庫は低水準だ。年明けにマレーシアで環境保護が目的の新税導入も見込まれ、値上がりは続く公算が大きい。建設コストを一段と押し上げそうだ。

国内の合板市場で輸入品のシェアは5割弱を占め、大半が南洋材合板だ。東京地区の工務店向け卸価格は、普通合板(厚さ2.3ミリ)が1枚580円(中心値)と今月初めに比べて2%上昇した。年初からの上昇率は3割に達し、過去30年で最も高くなった。

住宅の壁や屋根の下地に使う構造用合板(厚さ12ミリ)も1枚1380円(中心値)と1月初めに比べ5%高となった。

東南アジアの環境規制の強化で、原木伐採量が減った。インドネシアの合板大手のコリンドが型枠用合板の2工場の操業を1~2週間停止した。

市場では「1月以降に日本に入荷する型枠用合板は大幅減が避けられない」(木材専門商社S・I・T=東京・中央=の荘林宏毅社長)との指摘が出ている。インドネシア産型枠向け合板の2018年1~2月積み価格は1立方メートル630ドル前後(運賃込み)と30ドル(5%)高で決着した。年初比で26%上がった。

マレーシアも原木の伐採制限で合板メーカーの輸出余力は落ちている。同国の合板大手シンヤングループと日本の商社による17年12月~18年1月積みの型枠用合板の価格交渉は難航し、12月積みは見送りとなった。

1月積みは1立方メートル当たり570ドル前後(運賃込み)と10ドル(2%)の引き上げで合意した。年初と比べ29%高い。国内卸価格も1枚1350円(中心値)と前週比10円(1%)上昇し、1月からは50円高くなった。

現地からの供給が細り国内在庫は低水準にとどまる。日本木材輸入協会(東京・江東)によると、主要港湾10カ所の輸入合板在庫は10月末時点で約16万4千立方メートル。前年同月比で10%少なく「この2年低水準が続いている」(丸増ベニヤ商会=東京・江東)。

マレーシアでは主産地のサラワク州政府が18年1月に新税「森林復旧税」(仮称)を課すとの見方が強い。課税が決まれば合板で1立方メートル当たり10~20ドルのコスト増となる見込みだ。輸入合板は今後一段と値上がりする公算が大きく、住宅を中心に建設コストを押し上げそうだ。