合板対日出荷、マレーシア最大手が3割減 9月から
2017/7/6 22:44日本経済新聞 電子版
マレーシア最大の合板企業、シンヤングループはコンクリート型枠に使う南洋材合板の対日出荷量を、9月から現在に比べて3割減らすと日本の商社に伝えた。産地の伐採増税による原木不足などを理由にしている。対日価格は6月以降上昇基調を強めている。供給減による値上がりは日本国内の建設コストを押し上げそうだ。
シンヤングループは本社をマレーシア最大の産地であるサラワク州に置く。9月積み以降の対日出荷量は3万立方メートルとする方針。5月積みの出荷実績である約4万5千立方メートルに比べ33%少ない。
サラワク州は丸太伐採の一部利益を地元のインフラ整備などに充てる「ティンバープレミアム」(TP)と呼ぶ税を通常の伐採税に上乗せしている。7月1日からTPは1立方メートル当たり0.2~0.7ドルから一律約12ドルに上がった。
併せて州政府は(1)違法伐採取り締まり強化(2)基準に満たない小径木の伐採禁止(3)年間伐採面積の厳守――といった保護策や規制を打ち出した。原木供給が細り、現地の合板企業は6月積みから対日価格の引き上げに動いていた。7月積みも1立方メートル30ドル前後(約6%)の値上げで決まった。
貿易統計によると、16年のマレーシア産合板の輸入量は107万立方メートルで、合板輸入量の4割近くを占める。シンヤングループは日本向け合板の約半数を担う。同社の出荷減は対日価格を一段と押し上げる可能性が高い。すでに現地の合板各社は8月積み価格の引き上げを提示している。3カ月間の上げ幅は60ドル前後(約12%)に達する。
日本では東京の都心部を中心に、2020年の東京五輪をにらんだ再開発が動き出す。堅さがある南洋材合板はコンクリート型枠に欠かせない。国産木材を使った型枠用合板の品質も上がっているが、マレーシア産の減少分をすべて補うのは難しい。
木材輸入商社S・I・T(東京・中央)の荘林宏毅社長は、マレーシア産合板の供給減が建設コストの上昇要因になると指摘。「型枠の供給が足りなくなり、工事に遅れが出る可能性がある」と話す。