南洋材5%値上げへ 合板、マレーシアで丸太伐採増税方針

南洋材5%値上げへ 合板、マレーシアで丸太伐採増税方針

2017/5/18 22:48
日本経済新聞 電子版 

 住宅の内装材や合板に使う南洋材の対日輸出価格が上昇する見通しだ。主産地のマレーシア・サラワク州が森林資源保護を目的に7月にも丸太の伐採税を引き上げる方針を表明。輸出業者は6月積み合板で従来比5%前後の値上げを提示し始めた。南洋材は環境規制の強化で輸入量が減少傾向にあり、国産材へのシフトが一段と進む可能性がある。

サラワク州は丸太伐採の利益の一部を地元のインフラ整備や福祉施設拡充に充てる伐採税を現地の木材関連企業から徴収している。正式には「ティンバープレミアム」(TP)と呼ばれ、通常の丸太伐採税に上乗せして課税している。

現行のTPは1立方メートル当たり0.2~0.7ドル。輸入商社によると7月から一律約12ドルに引き上げられる公算が大きい。

指標となるマレーシア・サラワク州産合板の6月積み提示価格は1立方メートル当たり465~475ドル(C&F=運賃込み)。5月積みに比べ約5%(25ドル前後)の引き上げとなる。丸太(メランティ・レギュラー)の6月積みは1立方メートル300ドル程度(FOB=本船渡し)。4月と5月積みの成約はなかったため、3月積み比で3.5%(10ドル)程度の値上げを打ち出している。

7月に伐採税が実際に引き上げられれば「8月積み対日輸出価格は現在の成約価格に比べ合板で25ドル以上、丸太で10ドル強の値上げとなる可能性がある」(商社)との見方も出ている。

マレーシア産丸太の輸入量は環境規制の強化で1990年代後半から年々減少傾向にある。2016年の同国産丸太の輸入量は16万7675立方メートルで前年に比べ8.2%減った。同国産合板の輸入量も16年は107万5798立方メートルで前年比10.3%減少している。

国は25年までに合板用で国産材600万立方メートルの利用を目指している。林野庁の需給見通しによると、16年の国産合板の生産量は約306万立方メートル。国内シェアは年々上昇傾向にあり、16年は52%と1995年以来、21年ぶりに輸入合板を超えた(推定値)。市場関係者の間では「南洋材の価格上昇で、合板や内装材分野で国産材シフトが進む」との声は多い。