木材、大型建築でも活用 ゼネコンが相次ぎ技術
2017/3/28 23:49日本経済新聞 電子版
ゼネコン各社が大型の建築物で木材を活用しやすい新技術を相次ぎ開発している。大林組は工法を見直し、窓などの開口部を従来よりも多く設けられるようにする。清水建設は木材を使った大型建築物のデザイン性を高められる接合部材を開発した。公共施設などの木材利用を促す法律が施行されており、木材の使い勝手を高めて受注拡大につなげる。
大林組は木造住宅などで使用される国産の小型部材を組み合わせて大型部材にし、耐久力を高める工法を開発した。耐震のために必要だった壁材の量を減らし、6階建て建物で比較すると開口部を従来工法に比べ50%増やすことが可能となる。
材料コスト低減も見込めるため、6~8階建ての公共施設や商業施設の受注を目指す。
清水建設は木造と、鉄骨造や鉄筋コンクリート造を組み合わせやすくする技術を開発した。柱と梁(はり)を接合する部分に、工場で生産した鉄筋コンクリートの部材を使う。柱と柱の距離を20メートル近くまで広げることができるため、より自由なデザインが可能になる。
建築基準法では「1時間耐火」が認められた木材は4階建てまで、「2時間耐火」は14階建てまでの建物に使うことができる。竹中工務店は1時間耐火の部材の製造方法を見直した。
燃え止まり層を従来のモルタルの板から流動性の高い石こう材を注入する手法に変更。コストを従来比1~2割削減できる。
従来はカラマツだけを使っていたが、スギも利用できるようにして多様な木材を使いたい建築主の要望に対応する。
公共建築物木材利用促進法が2010年に施行されたこともあり、木造の公共施設が増えている。14年度に着工した公共建築物の木造率は10.4%で、10年度より2.1ポイント増えた。
ゼネコン各社は拡大傾向にある木材使用の建築物の受注獲得を目指して、1時間耐火や2時間耐火の性能で国土交通相の認定を受けた部材の開発を強化する。