2017年展望㊦ 新築減少時代をどう生き抜く

昨年の新設住宅着工戸数は97万戸台に乗りそうな勢いだが、 今年は昨年割れが避けられそうになく、90万戸台前半の92万~93万戸程度を予想する声が目立っている。新築需要の中身は持ち家や分譲が横ばいで推移する一方で、貸家が失速するとの見方が出ている。“貸家バブル”の調整は昨年から指摘され続けてきたが、今年もその勢いが継続できるのかで総戸数のブレを誘発する可能性はありそうだ。また、分譲住宅の土地仕入れが鈍化傾向にあることで、プレカット会社のなかには90万戸割れを予想する声もある。
今後の住宅需要に関する共通認識は、いずれ訪れる新築不振である。いつ下降トレンドに入るかが見極めづらいが、将来的な減少を見越して企業体力が残っているうちに新たな事業収益の柱を構築する動きは相変わらずだ。
新築関連で各社が注目するのが、2020年の省エネ基準の義務化やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)促進の流れをつかむことだ。開口部や断熱材などの建材・資材関連は新たな需要をどう取り込んでいくかを探っていたり、住宅1棟当たりの使用量増加を狙ったりしている。
一方で、本格的な新築減少時代の到来を見越してリフォーム事業を拡充する動きも継続しそうだ。構造躯体では耐震性向上による建物の安全性を引き上げることはこれまで同様の動きになりそうだが、高齢化社会到来で住まいのニーズも移り変わっていることで、高齢化とリフォームを切り口にした需要獲得にも力が入りそうだ。