Action
提言:全ての木造建築に構造計算実施と品質保証木材の採用を!
ご存知ですか?
日本の木造住宅の9割程度が構造計算されていない事を!
国産無垢構造材の大半が、品質保証されていない事を!
SSDプロジェクト提言「すべての木造建築に構造計算を!」
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協:東京都新宿区)が、2013年8月29日に公表した耐震診断調査の結果の取り纏めによれば、昭和56年に制定された新耐震基準以降に建設された木造住宅においても84%の建物に耐震性への懸念が存在し、さらに大震災の際に「倒壊する可能性が高い」と判定されたものは61.5%にものぼりました。
現在、建築基準法において「2階建て以下且つ、500㎡以下の規模の木造建築には構造計算が免除される」との特例(4号特例)が認められています。そのために大半の木造住宅が構造計算を行っていない現実があり、上記の新耐震基準以降の建物についても大半が耐震性の問題を抱えるという結果の一因であると考えます。
2016年の熊本地震の際に、甚大な被害を被った益城町で建てられた耐震等級2の木造住宅が倒壊しました。大きな揺れが続くなどのレアケースではありましたが、業界で騒然となった経緯があります。この建物は構造計算を用いない手法、いわば簡易的な評価方法で耐震等級2とされた建物でした。この建物に構造計算を実施して再評価を行ったところ、驚くほどに多くの項目でNGとなってしまいました。詳しくは下記リンクをご参照ください。この木造住宅が構造計算に基づいて評価された耐震等級2であったなら…、倒壊は免れたのかもしれません。いずれにしても、同じ耐震等級であっても構造計算に基づく評価とそうでないものには歴然とした品質性能の差が存在します。
>>>全ての建物に構造計算を –熊本地震の被害状況から–:山岸飛鳥 木の家プロデュース 明月社
SSDプロジェクトではこれまで「すべての木造建築に構造計算を!」をスローガンに、当方の商品を採用頂く需要者に対して、木造構造計算をサポートするなどのサービスを行ってきました。今後もその方針を堅持した上、さらに高度な木構造計画への対応も可能にすべく、様々な技術開発への取り組みを継続する所存であります。
SSDプロジェクトの品質保証:JAS機械等級区分構造用製材
木造建築の構造計算を行なったとして、そこで使用される構造用部材の強度等が明確でなければ、計算内容の担保に支障が生じることはご理解いただけると思います。しかしながら、国産無垢材を使用する場合には、強度を確認した部材が殆ど流通していないため、無等級材と称して、樹種による想定強度を用いています。杉の場合E-68(木材強度を示すヤング係数の値)にて計算がなされていますが、実際に梁桁材に杉が使用される場合、その部材の少なくない量が想定強度に満たない可能性があります。しかし、強度を測定している訳では無いので、あくまでも可能性なのです。これに対して、外材や集成材の構造用材の殆どが品質・強度を確認して供給されており、構造計算を行う場合においても優位にあると言えます。
この構造用部材の品質保証制度としてJAS(日本農林規格)機械等級区分構造用製材規格があります。公的機関が認定し且つ恒常的に測定精度を確認する計測器(グレーディングマシン)で、部材一本毎に強度及び含水率を測り、規格外の不合材除去はもちろんのこと、JAS規格が定める等級区分に選別した上で、その品質内容を部材自体に表示して供給します。この木材のJAS制度を司る全木検によれば、2012年時点のJAS機械等級区分供給実績は、構造用製材(集成材は含まれない)の総需要に対して僅か5%でした。しかもその大半が米マツ等の輸入材で、国産杉・桧のJAS材はほとんど流通していません。国産のJAS製材品不在の理由は様々ありますが、ここにきて業界関係者の努力が不足していたことは否めません。
SSDプロジェクトでは熊本県球磨川流域を産地とする杉・桧をJAS機械等級区分構造用製材規格にて品質保証供給します(下掲載画像参照)。これら品質保証材を現実的価格で安定的に供給するためには、木材乾燥法を始めとする基本的製造技術の再検討が必要で決して容易な道程ではありませんでした。しかしながら、住宅始め木造建築及びその関連部材を供給する者には、明確な根拠に基づく安全を提供するための恒常的な努力が、必要最低限の責任だと考えます。
180904
SSDプロジェクト
project