新技術や用途などの開発は大和ハウス工業や大和リースのほか、木材メーカーの中東(石川県能美市)と共同で取り組んでいる。
接着剤を使って複数の板を合わせ、圧力と熱をかけて1枚の集成材を作る。その工程で小松精練の炭素繊維複合材「カボコーマ」をシート状にした製品を、板の間や最下部に加える。カボコーマは熱を加えると軟化し、冷やすと固まる性質のため、板を圧着する際にくっつく。
実験で最下部にシートを貼り付けた集成材は、重量がほとんど変わらないまま強度が2倍になった。小松精練によると、国産杉の集成材は外国産に比べて価格が高いというが、強度の向上で使用する量が減れば、補強後も同等以下の価格が実現できるとしている。
今後は大和ハウスなどと共同で、シートを接着した部分が経年変化で剥離しないかなどの実証実験に取り組む。また複雑な形状のものを補強する際に、シートをどの方向にどれだけ入れれば十分な強度を得られるかなどを、コストとの兼ね合いも踏まえて研究する。
2017年7月にも同工法で製造した集成材を使い、薄い天板で意匠性の高いテーブルなどの家具を販売し、初年度は2億円の売上高を見込む。18年には階段や備え付けの棚などにまで用途を広げ、売上高を15億円程度にまで拡大。19年に日本工業規格(JIS)の取得を目指し、住宅などの構造部材としても販売する計画だ。
販売先はホテルやレストラン、家具量販店などを見込むほか、大和ハウスグループでの使用も検討している。
林野庁によると、15年の国内の森林蓄積(森林を構成する樹木の幹の体積。森林資源の目安となる)は約50億立方メートルと推定され、07年に比べて1割程度増えた。国産材の需要は足元で増加傾向にあるものの、輸入材に押されている状況が続いている。小松精練などによる炭素繊維を活用した集成材の開発は、国産の木材需要を拡大することで、国内林業の活性化を図る狙いもある。