国土交通省の「建設産業戦略会議」はこのほど、「建設産業の再生と発展のための方策2012」をまとめた。
「技術者や技能労働者の確保・育成」「海外建設市場への積極的進出」「維持更新、低炭素・循環型社会への対応」など5項目を主な課題に挙げ、「維持更新、低炭素・循環型社会への対応」については、今後拡大が見込まれる建築物のリフォーム工事への適切な対応を建設業界に求める内容となった。
国交省の調査によると、建築物のリフォーム工事は、500万円未満の工事が住宅で約8割、非住宅で約7割を占めている。また、個人発注者が中心となる住宅リフォームに関する相談は近年増加傾向にあり、このうち契約金額500万円未満の小規模工事に関する相談が約88%と大半を占めている状況だ。提言では、「この背景として、一定金額未満などの軽微な建設工事(以下、軽微な工事=建築一式工事では請負代金額が1500万円未満の工事または延べ床面積150m2未満の木造住宅工事。それ以外の建設工事は、請負代金額が500万円未満の工事)のみを請け負う場合には建設業許可が不要であること、また、リフォーム工事の契約では、半数近くの消費者が書面を取り交わしていないといった実態や詳細な見積もりがないために施工内容に関する合意が十分に図られないことを指摘する声もある」と分析している。
そこで、リフォームの具体的な施工範囲、前払金や工程に応じた代金の支払い方法、施工着手後に状況変化が生じた場合の協議方法など、建設企業が消費者に説明すべき基本的な事項を取りまとめたマニュアルなどを策定する必要性を指摘。更に、「中小零細建設企業の負担や影響にも勘案しつつ、軽微な工事の取り扱いについても建設業許可の対象とすることや、建設業許可に準ずる仕組みの導入などの可能性も視野に入れ、そのあり方について早期に検討を開始する」という。
住宅新報 2012年7月17日 掲載記事転載