横浜市鶴見区のマンションの住民53人が、耐震強度不足を見落としたとして建築確認をした指定確認検査機関「日本ERI」(東京)と市などに計約14億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は31日、「大地震時に倒壊する危険がある」と建て替えの必要性を認め、日本ERIと設計事務所側に計約14億円の支払いを命じた。市への請求は棄却した。
原告側代理人によると、耐震強度をめぐる訴訟で民間検査機関の責任が認められたのは初めて。
森義之裁判長は判決理由で「日本ERIは申請時に壁の強度不足を指摘し、修正を指示しながら、手書きで修正されただけの構造計算書の誤りを是正させずに建築確認を行った」と過失を認定。「個別の壁の強度まで確認する義務はない」としていた日本ERIの主張を退けた。
さらに設計を担当した下河辺建築設計事務所(東京)の責任も認めたが、横浜市の賠償責任は「検査機関に対する監督権限の行使を怠ったとはいえない」とした。
日本ERIは「主張が認められず承服しかねる判決。控訴する方向で協議したい」と話した。
〔共同通信〕
2012.02.01 日本経済新聞WEB刊 転載