政府は今夏にも住宅の省エネルギー性能を評価する新たな基準を作り、これを満たした新築住宅への税優遇を拡充する。石油や石炭の消費量を従来の基準より1割減らすことなどが条件で、住宅ローン減税の控除額を上乗せする。二酸化炭素(CO2)など温暖化ガス排出の抑制が狙いだ。
政府は2012年度の税制改正で、省エネ住宅に税優遇する方針を決めた。これを受けて国土交通省が新基準の大枠を固めた。開会中の通常国会で税制改正と関連法案が成立した後に具体的な条件を告示する。年間2万戸程度の利用を見込む。
税優遇には断熱材などを使って省エネ性能を高め、都道府県の認定を受ける必要がある。1次エネルギー消費量を1999年に作った省エネ基準に適応した住宅より1割減らし、節水型便器の導入なども求める。ただし郊外は対象外とする方向。温暖化ガスを排出する自動車の利用頻度が高いためだ。
この基準を満たせば、住宅ローン減税の優遇幅を拡大する。12年に住宅を買う場合、一般の住宅は所得税から10年間で最大300万円控除するが、これを400万円に広げる。新築住宅を登記する際の登録免許税(保存登記)も固定資産税評価額の0.1%とし、一般住宅の0.15%から引き下げる。
国交省はオフィスビルについても同様の税優遇制度を導入する方向で検討している。
2012.01.29 日本経済新聞Web刊 転載